無線LANAP

無線LANの基地局をLinuxベースで構築する場合の手順について記載します。

無線LANの基地局は、市販されているアクセスポイントで構築するのが一番簡単ですが、> 改造したりすることが難しいです。
そこで、Linuxをベースにし、アクセスポイントを構築する方法を記載します。
ここには記載しませんんが、この方法を拡張すると、[IEEE 802.1x]での認証を行うよう> にも構築できます。

必要なもの
インストール
設定
コマンドの使いかた

必要なもの（ハード）

LANが標準装備され、PCMCIAが１つ以上あるノートパソコンか、PCMCIA対応されているデスクトップパソコン
LANは10Mでも100Mでも可能です。
IntersilのChip(Prism2以上)を使った無線LANカード
ここでは、Corega製の[PCCL-11]とします。
クライアント用無線LANカード

必要なもの（ソフト）
- Wireless toolの最新（Wireless tool）
- hostap Driver（Prism2(Intersil PrismII driver with HostAP mode)）
- モニタツールwavemon
あると便利なもの（ソフト）
- ブリッジユーティリティ（brige util）
- GUI設定ツール（xwconfig）
802.1x認証で必要なもの
- freeradius
- xsupplicant
- libnet
- mppe
- PPtP Client
- ppp(MPPE対応)

パソコンの準備

上記で示したパソコン（PCMCIAとLAN付のノートパソコンかPCMCIAサポートのデスクトップパソコン）を用意します。
FedoraをインストールできるだけのHDDが必要です。メモリは１２８もあれば十分です。LANは必ず使います。
無線LANカードを用意します。これはクライアント用を含めて２枚必要です。

ソフトの準備(DownloadはOSインストール後でも問題ありません)

Fedora Core 1のCDを用意します。雑誌に添付されているもので十分使えます。
Wireless tool,hostap driver,wavemonをDownLoadしておきます。
IPアドレスを無線LANと有線LANで同一にするのであれば、ブリッジユーティリティをDownLoadします。

ソフトのインストール
インストールを行う場合は、[root]ユーザで実行してください。
弊社にてhostap-driver,hostap-util,hostapd,wavemo,xwconfig,wpa_supplicantのパッケージを作成していますので、利用してください。

Wireless
まずは、OSをインストールします。これはどのようなタイプでも問題ありません。
但し、必ず[kernel-source],[glibc-devel],[gcc],[dev],[make],[patch]等の開発環境をインストールします。
OSのアップデートを行います。KernelにSecurity Alertがありますので、アップデートします。(yum)
Downloadしておいたツール類をLinux環境にコピーします。
ここで、ツール類をDownLoadしても問題ないです。（そのほうが楽です）
Wireless toolは標準でインストール可能ですが、なるべく最新を使います。(fedoraの最新は同じバージョンです)
kernel sourceのconfigを作ります。
Fedora（RedHat系）の場合、kernel-sourceではDriverを正常にインストールできない場合が多いです。
その場合は、弊社で作成したパッケージを使ってください。
- cd /usr/src/linux-2.4
- cp configs/kernel-2.4.xx-in86.config .config
  xx:Kernel Version(最新は22)、in86:i386/i586/i686
- Makefileの修正
  Makefileの[EXTRAVERSION]に書かれているバージョンを修正します。
  例えば、[-1.2188nptlcustom]を[-1.2188nptl]とします。
  * [1.2188]は、Kernelバージョンによって異ります。
- make oldconfig dep
hostap Driverの構築
- tar xvfz hostap-driver-0.4.7.tar.gz
- cd hostap-driver-0.2.1
- vi Makefile
  - 3行目の[KERNEL_PATH=/usr/src/linux]を[KERNEL_PATH=/usr/src/linux-2.4]に変更
  - 54行目の[MODPATH := $(DESTDIR)/lib/modules/$(KERNELRELEASE)]を、
    [MODPATH := $(DESTDIR)/lib/modules/$(KERNELRELEASE)/kernel/drivers]に変更
  - 58行目の[MODPATH_CS := $(MODPATH)/pcmcia]を[MODPATH_CS := $(MODPATH)/net/wireless]に変更
  - 59行目の[MODPATH_PLX := $(MODPATH)/net]を[MODPATH_PLX := $(MODPATH)/net/wireless]に変更
  - 60行目の[MODPATH_PCI := $(MODPATH)/net]を[MODPATH_PCI := $(MODPATH)/net/wireless]に変更
  - Sourceの変更
    [driver/modules/hostap_compat.h]の70行目以降の部分を変更
    [#if (LINUX_VERSION_CODE < KERNEL_VERSION(2,4,23))]を[#if (LINUX_VERSION_CODE < KERNEL_VERSION(2,4,22))] に変更
  - make
  - make install
  - cp driver/etc/hostap_cs.conf /etc/pcmcia
- Wireless toolの構築（Fedora core 1の最新では不要）
  - tar xvfz wireless_tools.26.tar.gz
  - cd wireless_tools.26
  - make PREFIX=/usr/local
  - make install
- wavemonの構築
  - tar xvfz wavemon-current.tar.gz
  - cd wavemon-0.4.0b（現在の最新バージョンは 0.4.0bです）
  - ./configure --prefix=/usr/local
  - vi Makefile
    8行目の[CC = gcc]を[CC = gcc32]に変更
  - make
  - make install
- brctlの構築（ブリッジを使う場合のみ、Fedora core 1では用意されています）
  - tar xvzf bridge-utils-0.9.6.tar.gz
  - cd bridge-utils
  - ./configure
  - libbridge/libbridge_misc.cの20行目の下に、[#include ]を追加
  - brctl/brctl.cの56行目以降を以下のように修正
```
         struct command *cmd;
         int err; (追加)
         [br_init();]を[err = br_init();]に変更
         以降を追加
         if (err == 12345) {
              fprintf(stderr , "kernel API version mismatchn");
              return 1;
         }
         if( err ) {
              perror("Error initialising bridge communication");
              return 1;
         }
         
```
  - make
  - make install
  Fedora core 1の場合は、以下のようにします。
  [rpm -qa|grep bridge]でインストールされているか確認し、インストールされていなければ
  [yum install bridge-utils]でインストールします。
- xwconfigの構築（GUIを使う場合のみ）
  - tar xvfz xwconfig-0.0.1.tar.gz
  - cd xwconfig-0.0.1
  - make
  - make install
    標準では、[/usr/local/bin]にインストールされますが、インストール先を変更する場合は、
    Makefileの[INSTALL_DIR= /usr/local/bin]を任意のディレクトリに変更します。
- アクセスポイントの構築
  上記で構築したDriverやツールを使ってアクセスポイントを構築します。
  - まずは、無線LANカードを構築したマシンに接続します。
    弊社で作成したパッケージには、Coregaの無線LANカードの設定が標準で入っていますが、入っていない場合は
    /etc/pcmcia/hostap_cs.confに以下の内容を追加します。
```
      # Corega Wireless LAN Card Setting
      card "Corega Wireless LAN PCC-11"
        version "corega K.K.","Wireless LAN PCC-11"
        bind "hostap_cs"
      card "corega K.K. Wireless LAN PCCA-11 Ver. 1.00"
        version "corega K.K.", "Wireless LAN PCCA-11", "Ver. 1.00"
        bind "hostap_cs"
      card "corega K.K. Wireless_LAN_PCCB-11"
        version "corega_K.K.", "Wireless_LAN_PCCB-11", "Version 01.02", ""
        bind "hostap_cs"
      card "corega WL PCCL-11 ISL37300P RevA"
        version "corega", "WL PCCL-11", "ISL37300P", "RevA"
        bind "hostap_cs"
      card  "corega Wireless LAN PCCS-11"
        version "corega", "Wireless LAN PCCS-11", "Version 02.00", ""
        bind "hostap_cs"
      card "Corega WL CF-11 Rev.A"
        version "corega", "WL CF-11", "ISL37300P", "RevA"
        bind "hostap_cs"
      
```
    初期設定を行っておくには、以下の設定を行います。
```
      # Optional configuration parameters for hostap_cs.o
      # mode = 1 is adhoc , 2 is infra , 3 is master , 4 is repeat , 5 is second
      # infra is client , master is AccessPoint
      module "hostap_cs" opts "channel=3 iw_mode=3 essid=corega ignore_cis_vcc=0"
      
```
    ここで、[channel=3]は初期のチャネル、[iw_mode=3]は基地局モード、[essid=corega]は初期の SSIDになります。
    hostap_cs.confを修正したら、[/etc/rc.d/init.d/pcmcia restart]を実行します> 。
    これでアクセスポイントになります。
  - iwconfigコマンドで状態を確認します。
    もし[hostap_cs.conf]に設定したものと異なる場合は、[iwconfig]コマンドで設定します。
  - 別のkterm/rxvtを起動し、wavemonを起動します。
  この状態で、クライアントを起動することでアクセスポイントになりますが、このままだと、ルーティングが必要になります。
  そこでブリッジユーティリティを使います。
- ブリッジユーティリティの設定ブリッジユーティリティを使うことで、有線LANと無線LANを同一のデバイスにすることができます。
  このツールは有線LAN同士でも可能です。
  - 仮想デバイスとして[br0]を作ります。
    brctl addbr br0
    [br0]は仮想ですので、他の名前でもかまいません。
  - [br0]に加えるインタフェースを設定します。
    brctl addif br0 eth0 （有線LANインタフェース）
    brctl addif br0 wlan0 （無線LANインタフェース）
  - 通常のインタフェースのIPアドレスを変更します。
    ifconfig eth0 0.0.0.0 （有線LANインタフェース）
    ifcofnig wlan0 0.0.0.0 （無線LANインタフェース）
  - 仮想デバイスにIPアドレスを設定します。
    ifconfig br0 xxx.xxx.xxx.xxx netmask xxx.xxx.xxx.xxx up
  - ルーティングを設定します。
    route del default gw xxx.xxx.xxx.xxx dev eth0
    route add default gw xxx.xxx.xxx.xxx dev br0
  - ipchains/iptablesを修正します。
- 無線LANの利用
  上記で設定した内容を使って利用します。SSIDを一致させることで即座に利用可能です。
  アクセスポイントで動かしている、[wavemon]を見ることで、接続しているクライアントのMACアドレスを認識することが可能です。
- Wireless toolsの使いかた
  Wireless toolsで提供されるコマンド[iwpriv],[iwconfig],[iwspy],[iwlist],[iwgetid],[iwevent]
  の使いかたを簡単に説明します。
  - iwconfig
    [iwconfig]コマンドは、無線LANの基本設定を行うコマンドです。
    - 状態表示
      無線LANの現在状態を表示します。
      [iwconfig (interface)]
      Ex: iwconfig wlan0
      [wlan0]以外に、[wifi0]のデバイスも表示されます。
    - SSID(ESSID)
      無線LANのSSID(ESSID)を設定します。
      [/etc/pcmcia/hostap_cs.conf]の[module]で設定されている[essid]がDefaultです。
      [iwconfig (interface) essid xxxxxx]
      Ex: iwconfig wlan0 essid liberty
    - Channel
      無線LANのChannelを設定します。
      [/etc/pcmcia/hostap_cs.conf]の[module]で設定されている[channel]がDefaultです。
      [iwconfig (interface) channel n] n: 1-14
      Ex: iwconfig wlan0 channel 1
    - Mode
      無線LANのModeを設定します。
      [/etc/pcmcia/hostap_cs.conf]の[module]で設定[iw_mode]がDefaultです。
      [iwconfig (interface) mode xxxxx]
      xxxxxx:ad-hoc AD-HOCモード
      managed Client モード
      master Access Point モード
      repeat Repeater モード
      Ex: iwconfig wlan0 mode Master
    - nick
      無線LANのnick nameを設定します。
      [iwconfig (interface) nickname "xxxxxx"]
      Ex: iwconfig wlan0 nickname libertyap
    - key/enc
      無線LANのWEP Keyを設定します。
      [iwconfig (interface) key off]
      [iwconfig (interface) key nnnn-nnnn-nn]
      Ex: iwconfig wlan0 key off / WEP Key OFF
      iwconfig wlan0 key 0123-4567-89 / WEP Keyを[0123-4567-89]に設定
      iwconfig wlan0 key [2] 9876-5432-10 / WEP Keyの２つ目を[9876-5432-10]に設定
  - iwlist 無線LANの状態を参照します。
    - channel/frequency
      利用可能なチャンネル一覧を表示します。
    - rate/bitrate
      利用可能な転送速度の一覧と、現在の転送速度を表示します。
    - key/enc
      設定されているWEP KEYと現在のKEYを表示します。
  - iwpriv
    iwconfigで設定できないものを設定します。
    ここに記載されていないものは、[/usr/share/doc/hostap-driver-0.2.1/README]>を参照してください
    - モニタリング
      Monitor Off : iwpriv wlan0 monitor 0
      802.11 Header Monitor : iwpriv wlan0 monitor 2
      Prism2 + 802.11 Header : iwpriv wlan0 monitor 3
    - アクセスコントロール
      
      >Open Policy(Default)
      iwpriv wlan0 maccmd 0
      Allow Policy
      iwpriv wlan0 maccmd 1
      iwpriv wlan0 addmac 00:11:22:33:44:55
      iwpriv wlan0 maccmd 3 (Flash)
      
      Deny Policy iwpriv wlan0 maccmd 2
      iwpriv wlan0 addmac 00:11:22:33:44:55
      
      MAC Address削除 iwpriv wlan0 delmac 00:11:22:33:44:55
      WDS
      基地局間通信を行う場合に使います。
      iwpriv wlan0 wds_add 00:11:22:33:44:55
      brctl addbr br0
      brctl addif br0 eth0
      brctl addif br0 wlan0
      brctl addif br0 wlan0wds0
      ifconfig eth0 0.0.0.0
      ifconfig wlan0 0.0.0.0
      ifconfig wlan0wds0 0.0.0.0
      ifconfig br0 192.168.1.1 netmask 255.255.255.0 up
    - iwgetid
      設定されているSSID(ESSID)を表示します。
    - iwspy
      現在接続されている無線LANクライアントを表示します。
    - iwevent
  https://www.libertysystem-factory.co.jp/staticpages/index.php/wap